海外でインプラントのアバットメントがゆるんだら
海外や国内に引っ越した時にインプラントにトラブルが起きた時にどうしたら良いか質問を受けました。
それに対する回答をわかりやすくして、ここに記載します。
◎○ 様
こんにちは。原田歯科クリニックの受付、コーディネーターの○○です。
先日はご来院いただきありがとうございました。
ご相談いただきました内容について、国際口腔インプラント学会認定歯科医師の原田幹夫歯科医師に確認しましたので、ご返答させていただきます。
海外でインプラント本体・インプラント上部構造が外れてしまった場合
インプラントの本体が外れることはほとんどありません。万が一外れてしまった場合は、対応していただける病院をお探しください。地元の評判などを参考にして ご自分で探すのが難しい場合は、原田歯科医師は海外での研修経験もあり、海外の知り合いの歯科医師もいますので、近医を探す努力は致します。
また、上部構造の脱離に関しましては、インプラントのメーカーは問われないかと思われます。天然歯の上部構造がはずれた時と同様に接着用のセメントでつけます。
国内に転勤になった場合は、お引越し先の住所をご連絡いただければお近くの歯科医院をご紹介いたします。(ただし、保守内容での対応は当院のみとなっております) これは、確実に紹介できます。プラトンインプラントに関しては、日本全国で実施している歯科医師が多いので安心です。
30年後、プラトンの会社が吸収合併などでなくなった場合
正直な話、30年後のことは誰にもわかりません。ただ、今までのインプラントメーカーの歴史を見ると、会社が合併して名前が変わっても、インプラント製品自体が変わることはほとんどありませんので、ご安心くださいませ。
例えば、先日 名前が出たアストラインプラントは、デンツプライという大きな会社に吸収合併されましたが、アストラ自体は今でも広く行われています。クルマを例に例えれば、MINI というクルマを作っていた英国のローバーというメーカーは,ドイツのBMW の傘下に入りましたが、MINI のブランドは健在です。恐らく心配されているのは、アバットメントがゆるんだときに増し締めできるかということだと思います。
アバットメントのゆるみは、どこのメーカーのものでも起こりうるもので、これはインプラント自体を守るために先にアバットメントがゆるんでくれるわけですが、 正直な話 メーカーによってゆるみやすさに差があります。今回行う予定なのは、プラトンEL Pro というインプラントで、抜歯即時埋入に適しておりますし、アバットメントのゆるみがきわめて少ない設計になっています。いわゆる4大メーカーのアバットメントのゆるみやすさを改良したものとも言えます。
しかし、アバットメントのゆるみはゼロではありません。この場合、EL Pro のアバットメントを増し締めできるのは専用の器具が必要になり、ブローネマルクやアストラのドライバーで締めることはできません。
また、プラトンのType 1 というものですと、こちらは4大メーカーのストローマンと互換性があります。元々プラトン(最初はType 1 だけでした )や4大メーカーのひとつに挙げられる Zimmer ( Swiss Plus など) もストローマンを模倣して作られたインプラントです。
この場合の互換性とはどういう意味かというとプラトンのインプラントにストローマンのアバットメントを立てられる、ストローマンのインプラントにプラトンのアバットメントを立てられるという意味です。実際に当医院で行う場合は、プラトンのインプラントに、プラトンのアバットメントをたてます。
プラトンType 1 の場合,ストローマンやSwiss Plus とほぼ同じ形状のインプラントであり、アバットメントのゆるみは、プラトンEL Pro より起こりやすいです。ちなみにオリジナルのブローネマルクインプラントは、さらにアバットメントがゆるみやすいです。ただし、プラトンType 1 は抜歯即時ではできませんので、抜歯後に人工骨を入れてから時間をおき、その後インプラントを入れるかたちになります。
ところで、本日のCT 画像によると、予想以上に骨が吸収していることが判明しました。従って、抜歯即時埋入は厳しい可能性があります。一度、人工骨を入れて2か月たってからインプラントするほうが安心と思われます。その場合、オススメしているのは少しでも成功率を上げるために、抜歯した段階からインプラントの上部構造が入るまで、質の高いビタミン、ミネラルを摂取し、細胞レベルで治りを良くする高品質のサプリメントを摂取していただくことです。
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ドーピングに細心の注意を払うオリンピック選手、トップアスリートが服用してますし、授乳中の方や妊婦さんにも安心して飲んでいただいております。
話を元に戻します。当医院には、他の医院でインプラントした方がアバットメントがゆるんだので締めてほしいと言って来院されたことは一度もないので(多くの方はインプラントされた医院に行くものと思われます)、使ったことはないのですが、どのメーカーのインプラントのアバットメントのネジでも締めることができるキットが歯科業者より販売されています。
ただ、万一、海外でアバットメントのゆるみが生じてしまったら、当医院で使っている工具を国際宅急便で送り、それを使って現地のインプラント経験の多い歯科医師に締めてもらうのが現実的と思われます。
以上、不明な点がありましたら、ご質問下さい。