「インプラントと骨との付きが良くなる」
原田歯科クリニックでは、インプラントした患者さんに術後に超音波を当てています。
これにより、骨の治癒が促進されインプラントと骨との付きが促進されます。
使っている超音波の商品名は BR sonic (ビーアール・ソニック)です。
販売元は伊藤超短波という会社で、骨折の治療機器について実績があります。
BR sonic は医療機器であり、骨折の治癒が促進されるというエビデンスがあります。
実際、整形外科では超音波治療が保険診療にも導入されています。
厚生労働省のお墨付きというわけです。
超音波を当てることにより 40% 骨折の治癒が促進されます。
そこで、インプラントは骨と直接付くものなので、
超音波を当てれば、ドリル等で形成した骨の治りがよくなる
→ インプラントと骨の付きが良くなる という理屈です。
インプラントが骨と付くことを
オッセオインテグレーション(Osseointegration)と言います。
では、オッセオインテグレーションとは何かと言うと、
チタンと骨が光学顕微鏡のレベルで直接的に一体化した状態の事です。
つまりインプラントと骨とが密着した状態のことを言います。
骨にドリルで穴をあけるわけですが、そこにインプラントを埋入し、超音波を当てれば、骨が治る(形成した穴がふさがる)→ 骨とインプラントとの密着度合いが増すという理屈です。
超音波を当てるために患者さんは医院に来ていただく必要があります。
毎日来ていただく必要はありません。
目安として2週間に1回の通院をお勧めしております。
超音波に関しては、duty cycle といって1秒間に何秒間出ているかという指標があるのですが、
超音波が出っぱなしなのではなくて、間欠的に出ています。
BR sonic は、duty cycle が20%, すなわち1秒間のうち 0.2 秒間 超音波が出ています。
BR sonic のパルス超音波の周波数は、1 MHZ, 3 MHZ, 5 MHZ の3種類があります。
BR sonic を販売する伊藤超短波からリクリーンという電動ブラシが販売されています。音波ブラシだけでなく、超音波ブラシとしても使えるものです。
このリクリーンには マッサージヘッドという超音波が出るヘッドがあります。実はこの超音波をインプラントと骨との付きを良くするのを期待するために使うことがあります。
これなら患者さんがご家庭で毎日使うことができます。
リクリーンのパルス超音波の周波数は、1.6 MHZ ですから超音波が骨の中に深達することは間違いない、従って骨の治癒に効果があるという理屈です。
なお、電動ブラシとしてのリクリーンはどうなのかについては、
実験が行われています。
伊藤超短波のホームページにも記載があり、プラーク除去効果と唾液量が増える効果はあります。
また、徳島大学の研究で不溶性グルカンの付着が低いというレポートがあるそうです:これは伊藤超短波の前の担当者の方からのお話です。
プラーク除去効果が他の電動ブラシや手磨きの歯ブラシと比べてどうなのかについては、調べた限りでは不明でした。
話が骨とチタンの付きのことに戻ります。
骨折の治療促進に超音波が効くという論文はいくつかあります。
伊藤超短波という会社は骨折の治療機器に力を入れている会社なので信用してよいのではないかと思います。